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賴岳寺三十六世 岸田栽華

春水四沢に満ち、百花春風に和す好季節となりました。梅は実を含み、桜は新緑となって瑞気開き、
いよいよ身体の細胞も活動を再開して、天地の運行と同調している事を感じるこの頃です。

禅の語録『無門関』という本の「平常心是れ道」という話です。
その中に
「春に百花有り 秋に月有り 夏に涼風有り 冬に雪有り もし閑事の心頭に掛かることなくんば すなわちこれ人間の好時節」と歌っているところがあります。
 春になれば、いろいろの花が咲き、秋には明月が輝き、夏は涼風が吹くし、冬は雪が降る。これは何を歌っているのでしょうか。単に春夏秋冬の光景を歌っているのではなく、ここは私たちの心の風景を読んだものとみれば、心に喜びがあれば、花の咲くのも、月の輝くのも、みな喜びとなるし、こころに悲しみがあれば、風が吹くのも、雪の降るのも、みな悲しみとなる。心に迷いがあれば、この世は苦しい世界だが、心に迷いがなければ、この世がそのまま楽しい世界となる。もし迷いとか、悟りとか、幸とか、不幸とか、そのような余計なことが少しでもわれわれの心に掛からなければ、人間本来の心は、迷いも、悟りもない無心だということに気がつけば、それこそ、毎日毎日平和な幸福な生活ができる、とうなずけるのではないでしょうか。